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2026年最新版 3月決算法人のための法人税申告・決算対策ガイド 【第4回/全5回】:防衛特別法人税の創設と中小企業への影響

2026/5/1

連載第4回では、令和7年度税制改正で創設された「防衛特別法人税」について解説します。この新税は令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されるため、3月決算法人の場合は2027年3月期(来期)からが初めての課税対象となります。今期の申告には直接影響しませんが、来期の税負担を正確に見積もるために、今から理解しておくことが重要です。港区・新橋エリアの中小企業経営者の皆さまに、制度の仕組みと実務上の影響をわかりやすくお伝えします。

1. 防衛特別法人税とは

防衛特別法人税は、我が国の防衛力の抜本的な強化に必要な財源を確保するために創設された新たな付加税です。「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(防確法)の改正により制度化されました。

制度の概要:

  • 納税義務者:各事業年度の所得に対する法人税を課される法人(防確法第8条)
  • 課税事業年度:令和8年4月1日以後に開始する各事業年度(防確法第11条)
  • 税率4%
  • 基礎控除額:年500万円(防確法第13条第3項)
  • 課税標準:基準法人税額(一定の税額控除適用前の法人税額)から基礎控除額を控除した金額

2. 計算の仕組み

防衛特別法人税の計算は、以下のステップで行います。

  • ステップ1:基準法人税額を算出(所得税額控除・外国税額控除等の一定の税額控除を適用しないで計算した法人税の額)
  • ステップ2:基準法人税額から基礎控除額(年500万円)を控除
  • ステップ3:控除後の金額に税率4%を乗じて防衛特別法人税額を算出

【計算例】港区・新橋の中小企業(資本金1,000万円)の場合

課税所得2,000万円の3月決算法人を想定します。

  • 法人税額:800万円×15% + 1,200万円×23.2% = 120万円 + 278.4万円 = 398.4万円
  • 基準法人税額:398.4万円(所得税額控除等がない場合)
  • 防衛特別法人税:(398.4万円 − 500万円)× 4% = 0円(基礎控除額以下のため課税なし)

この例では、法人税額が500万円以下であるため、防衛特別法人税は発生しません。法人税額が500万円を超えるのは、概ね課税所得が約2,500万円を超える場合です。

【課税所得3,000万円の場合】

  • 法人税額:800万円×15% + 2,200万円×23.2% = 120万円 + 510.4万円 = 630.4万円
  • 防衛特別法人税:(630.4万円 − 500万円)× 4% = 約5.2万円

3. 中小企業への影響

基礎控除額が年500万円設けられているため、多くの中小企業では防衛特別法人税の負担は限定的です。具体的には、以下のような影響が見込まれます。

  • 課税所得が約2,500万円以下の中小法人:防衛特別法人税は発生しない(基礎控除の範囲内)
  • 課税所得が3,000万円の中小法人:年間約5万円の追加負担
  • 課税所得が5,000万円の中小法人:年間約20万円の追加負担
  • 課税所得が1億円の中小法人:年間約60万円の追加負担

なお、防衛特別法人税額が0円であっても、申告書の提出は必要です。防衛特別法人税の申告書は、法人税及び地方法人税の申告書と一体の様式(別表一次葉一)となっていますので、提出漏れにご注意ください。

4. 今期(2026年3月期)にやるべき準備

今期の申告には防衛特別法人税は適用されませんが、来期に向けて以下の準備を進めましょう。

  • 来期の利益予測を行い、防衛特別法人税の発生有無をシミュレーションする
  • 会計ソフト・税務申告ソフトが防衛特別法人税に対応しているか確認する
  • 税理士と来期の税負担見込みについて打ち合わせを行う
  • 資金繰り計画に防衛特別法人税の負担を織り込む

まとめ

防衛特別法人税は、基礎控除500万円の存在により、課税所得が約2,500万円以下の中小企業には実質的な影響がありません。しかし、それ以上の所得がある法人は追加の税負担が生じます。港区・新橋エリアで事業を拡大している中小企業の経営者は、来期の税負担を正確に把握するために、税理士への早めの相談をお勧めします。

次回予告:最終回の第5回では、中小企業が活用すべき税額控除制度と、連載全体のまとめをお届けします。


よくある質問(Q&A)

Q1: 防衛特別法人税は2026年3月期の申告から適用されますか?

A1: いいえ。防衛特別法人税は令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。3月決算法人の場合、2027年3月期(2026年4月1日開始の事業年度)が最初の課税対象です。2026年3月期の申告では防衛特別法人税の申告は不要です。

Q2: 基礎控除500万円とは、所得500万円まで非課税ということですか?

A2: いいえ。基礎控除500万円は「法人税額」から控除するものであり、「所得」から控除するものではありません。法人税額(基準法人税額)が500万円以下であれば防衛特別法人税は発生しません。中小法人の場合、概ね課税所得約2,500万円以下であれば法人税額が500万円以下となります。

Q3: 新橋で会社設立したばかりの赤字法人も申告が必要ですか?

A3: 防衛特別法人税の課税事業年度に該当する場合、防衛特別法人税額が0円であっても申告書の提出は必要です。ただし、赤字で法人税額が0円の場合は、防衛特別法人税も当然0円となります。

根拠法令・参考判例

  • 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(防確法)第8条(納税義務者)
  • 防確法第10条(基準法人税額)
  • 防確法第11条(課税事業年度)
  • 防確法第13条(課税標準)
  • 防確法第14条(税率)
  • 所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13号)

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