2026年最新版 3月決算法人のための法人税申告・決算対策ガイド 【第3回/全5回】:減価償却・交際費・役員報酬の損金算入ルール
2026/4/24
連載第3回では、決算・申告時に特に注意が必要な3つの項目——「減価償却費」「交際費等」「役員報酬」の損金算入ルールを解説します。これらは税務調査でも頻繁に指摘される項目であり、港区・新橋エリアの中小企業経営者にとって、正確な理解が不可欠です。
1. 減価償却費の損金算入ルール
法人税法第31条に基づき、減価償却資産の償却費は、法人が損金経理(会計上、費用として計上)した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額が損金に算入されます。
主なポイント:
- 損金経理要件:法人が確定した決算において費用として経理していなければ、損金算入は認められません。
- 償却方法:建物・建物附属設備・構築物は定額法のみ。その他の有形減価償却資産は定額法または定率法を選択可能(届出がない場合は定率法が法定償却方法)。
- 少額減価償却資産の特例:中小企業者等は、取得価額30万円未満の減価償却資産について、年間合計300万円を限度に全額損金算入が可能です(租税特別措置法第67条の5)。令和8年度税制改正により、常時使用する従業員数が400人を超える法人は適用対象外となる見直しが予定されています。
- 一括償却資産:取得価額20万円未満の資産は、3年間で均等に損金算入する一括償却が選択可能です(法人税法施行令第133条の2)。
2. 交際費等の損金算入ルール
交際費等は原則として損金不算入ですが、中小法人には以下の特例が設けられています(租税特別措置法第61条の4)。
- 選択肢①:年800万円までの交際費等の全額を損金算入
- 選択肢②:接待飲食費の50%を損金算入(800万円の上限なし)
中小法人はいずれか有利な方を選択できます。交際費等の支出額が年1,600万円を超える場合は選択肢②が有利になりますが、多くの中小企業では選択肢①(800万円定額控除)が有利です。
実務上の注意点:
- 1人当たり10,000円以下の飲食費(社内飲食費を除く)は、所定の事項を記載した書類を保存していれば、交際費等から除外されます(措法61条の4第4項)。令和6年度税制改正により、従来の5,000円基準から10,000円に引き上げられています。
- 会議に際して提供する茶菓・弁当等の費用は、通常要する費用であれば会議費として処理でき、交際費等には該当しません。
3. 役員報酬(役員給与)の損金算入ルール
法人税法第34条により、役員給与は原則として損金不算入ですが、以下の3類型に該当する場合は損金算入が認められます。
- 定期同額給与(法人税法第34条第1項第1号):支給時期が1か月以下の一定期間ごとで、各支給時期における支給額が同額であるもの。事業年度開始から3か月以内の改定(通常改定)は認められます。
- 事前確定届出給与(同項第2号):所定の時期に確定額を支給する旨を事前に税務署に届け出たもの。役員賞与を損金算入するために利用されます。
- 業績連動給与(同項第3号):利益に関する指標を基礎として算定されるもの。上場企業等が対象で、中小企業での利用は限定的です。
港区・新橋で会社設立をされた法人の経営者は、事業年度開始後3か月以内(3月決算法人なら6月末まで)に役員報酬の改定を行うことが一般的です。この時期を逃すと、増額分が損金不算入となるリスクがあります。税理士に相談の上、適切なタイミングで改定手続きを行いましょう。
4. 決算時のチェックリスト
以下の項目を決算時に必ず確認してください。
- 減価償却費は償却限度額の範囲内で損金経理されているか
- 少額減価償却資産の年間合計額は300万円以内か
- 交際費等の損金算入方式(800万円定額控除 or 接待飲食費50%)の有利選択を行ったか
- 1人当たり10,000円以下の飲食費について、所定の記載事項を満たす書類を保存しているか
- 役員給与は定期同額給与の要件を満たしているか
まとめ
減価償却・交際費・役員報酬は、法人税の所得計算において最も重要な調整項目です。これらのルールを正しく理解し、適切に処理することで、適正な納税と節税の両立が可能になります。港区・新橋の税理士に相談し、決算前に各項目の処理方針を確認しておくことをお勧めします。
次回予告:第4回では、来期(2027年3月期)から適用が始まる「防衛特別法人税」の仕組みと中小企業への影響について、いち早く解説します。
よくある質問(Q&A)
- Q1: 30万円未満の備品を購入した場合、全額経費にできますか?
- A1: 中小企業者等に該当する法人であれば、取得価額30万円未満の減価償却資産について、年間合計300万円を限度に全額を損金算入できます(租税特別措置法第67条の5)。ただし、青色申告法人であることが要件です。
- Q2: 取引先との飲食費はいくらまで交際費から除外できますか?
- A2: 令和6年4月1日以後に支出する飲食費については、1人当たり10,000円以下であれば交際費等から除外されます。ただし、飲食の年月日、参加者の氏名・関係、飲食店名、参加人数等を記載した書類の保存が必要です。
- Q3: 役員報酬を期中に変更した場合、損金算入は認められますか?
- A3: 定期同額給与の改定は、原則として事業年度開始後3か月以内(3月決算法人なら6月末まで)に行う必要があります。この期間外の改定は、経営状況の著しい悪化等の特別な事由がない限り、増額分が損金不算入となります。
根拠法令・参考判例
- 法人税法第31条(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)
- 法人税法第34条(役員給与の損金不算入)
- 法人税法施行令第133条の2(一括償却資産の損金算入)
- 租税特別措置法第61条の4(交際費等の損金不算入)
- 租税特別措置法第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
- 租税特別措置法通達61の4(1)-1〜4(交際費等の範囲)
参考リンク