2022/3/21
近年、起業や独立をして新しい事業を立ち上げる方が増えていますが、事業の立ち上げで必要となるのが資金です。
会社の規模によりますが、創業資金を潤沢に用意するのは難しいため、「資金が足りない」「融資を受けたい」という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、創業したばかりの会社でも受けられる創業融資の種類やメリットを紹介します。
創業融資とは、新しく事業を立ち上げる際に受ける融資制度のことです。
事業の立ち上げというのは「起業」「開業」「創業」「独立」などを指します。
事業を始める際には、商材や原材料の仕入れ、店舗やオフィスを借りる、スタッフや正社員の人件費など、あらゆる面でお金が必要です。
ある程度は自己資金でカバーできるかもしれませんが、不足するようであればお金の借入をしなければなりません。
しかし、普通に借り入れると金利も高く、また、まとまったお金を借りるのは難しいので「創業融資」という制度を利用して創業資金を調達するのが一般的となっています。
創業融資には以下の2つの種類があります。
ここでは、それぞれの制度について解説していきます。
日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)は、国が100%の所有権を持っており、国の政策を基準に資金供給を行っています。
参考資料:日本政策金融公庫
信用保証協会は、直接融資をしてくれるわけではなく、金融機関に対して「保証」をしてくれる制度です。
自治体によって借入条件が決定され、この条件を満たした融資申込者の「連帯保証人」になってくれるので、経営実績がない会社であっても、金融機関から創業融資を受けることができます。
参考資料:創業期に利用可能な信用保証制度について 経済産業省
日本政策金融公庫も信用保証協会も、それぞれに利用条件があります。
信用保証協会は自治体によって条件が異なりますが、ここでは東京を例に両社の利用条件(※)を比較していきます。
日本政策金融公庫 | 信用保証協会 | |
対象となる方 | 新規事業を始める方 | 1ヵ月以内に個人で開業する方 2ヵ月以内に法人で開業する方 |
事業の許認可 | 事業に必要な許認可を受けている | 事業に必要な許認可を受けている |
自己資金 | 創業資金総額の1/10以上 | 自己資金不要 |
融資上限 | 7,200万円(内運転資金4,800万円) | 3,500万円以内(自己資金2,000万円を加えた額の範囲内) |
金利 | 年率2%前後 | 年率2%前後 |
保証料 | なし | 年率2%前後 |
担保 | 原則不要 | 原則不要 |
保証人 | 原則不要 | 個人事業者は原則不要 法人の場合は代表者が連帯保証人 |
※利用条件は新規事業を始める方への条件を記載しています。
創業融資は創業したばかりの会社でも融資が受けられますが、当然金利は発生しますし、返済期間も決まっています。
それでも、この制度を利用するメリットはたくさんあるので、その一部を紹介します。
一番のメリットは、経営実績がなくても融資が受けられるということです。
普通の融資であれば、前期の売り上げや取引先、支払状況など経営の実績で審査を行うため、まだ会社としての運営実態がない状態では融資が受けられません。
そのため、どうしても創業資金が必要となった場合は、金利が高い借入をすることになります。
しかし、創業融資であれば、実績に関係なく融資が受けられるので、金利が高い金融機関で借入をする必要もありません。
普通であれば、創業資金など単位の大きいお金を借りるには担保や保証人が必要です。
しかし、創業融資では原則どちらも不要(※)なので、申し込みのハードルを下げることができます。
※信用保証協会では法人設立のみ代表者が保証人となります。
創業融資は、返済の猶予期間が長いというのもメリットです。
日本政策金融公庫の場合は、設備資金であれば20年以内、運転資金は7年以内となっているので、毎月の返済額を少なくすることも可能です。
創業融資にはデメリットもあるので、しっかり把握したうえで借入を検討しましょう。
創業融資には金利がかかるので、余裕があれば繰り上げ返済をするのがベストです。
しかし、日本政策金融公庫で繰り上げ返済をするには手数料がかかるのがデメリットです。
手数料を支払わないと一括返済はできないので、残りの返済期間によっては損をしてしまうことがあります。
参考資料:期限前弁済手数料制度 日本政策金融公庫
創業融資は、起業や開業をする方にとっては魅力的な制度ですが、手続きが複雑だったり条件が分かりにくかったりするので、場合によってはスムーズに融資を受けられないことがあります。
「会社設立時に創業融資を利用したい」「会社設立をスムーズに進めたいけど、どうしたらいいか分からない」という方は、ぜひNo.1税理士法人にご相談ください。