2026年最新版 港区・新橋の中小企業経営者のための役員報酬改定の税務実務
第2回/全5回:事前確定届出給与の活用と届出期限の実務
執筆:No.1税理士法人
前回は定期同額給与の基本ルールについて解説しました。第2回では、役員に対する賞与(ボーナス)を損金算入するための制度である「事前確定届出給与」について、港区・新橋の中小企業経営者が押さえるべき実務ポイントを解説します。
1. 事前確定届出給与とは
事前確定届出給与とは、役員の職務につき「所定の時期に確定した額の金銭を交付する旨の定め」に基づいて支給される給与で、定期同額給与にも業績連動給与にも該当しないものをいいます(法人税法第34条第1項第2号)。
簡潔に言えば、「いつ・いくら支給するか」を事前に届け出ておくことで、役員賞与を損金算入できる制度です。中小企業の同族会社では、この届出が必須となります。
2. 届出期限を正確に把握する
事前確定届出給与の届出期限は、以下の(1)または(2)のうちいずれか早い日です。
- (1) 株主総会等の決議をした日(決議日が職務執行開始日後の場合はその開始日)から1か月を経過する日
- (2) 会計期間開始の日から4か月を経過する日
【3月決算法人の具体例】
- 会計期間開始日:2026年4月1日
- 定時株主総会:2026年6月25日に開催
- (1)の期限:2026年7月25日(決議日から1か月)
- (2)の期限:2026年7月31日(4月1日から4か月)
- 届出期限:2026年7月25日(早い方)
港区・新橋エリアで会社設立をされた新設法人の場合は、設立の日以後2か月を経過する日が届出期限となります。
3. 届出どおりに支給しないとどうなるか
事前確定届出給与は、届出内容と実際の支給が完全に一致していなければなりません。支給時期または支給額が届出と異なる場合、その給与の全額が損金不算入となります。
- 届出額より多く支給した場合 → 全額損金不算入
- 届出額より少なく支給した場合 → 全額損金不算入
- 届出した時期に支給しなかった場合 → 損金不算入(ただし翌期への影響は原則なし)
国税庁の質疑応答事例では、複数回の支給がある場合、1回でも届出どおりに支給されなければ、その職務執行期間に係る事前確定届出給与の全額が損金不算入になるとされています。
4. 届出書の記載と提出先
届出書は「事前確定届出給与に関する届出書」(付表含む)を使用し、納税地の所轄税務署長に提出します。届出書には以下の事項を記載します。
- 届出の対象となる役員の氏名・役職
- 職務執行期間
- 支給時期(年月日)と支給額
- 事前確定届出給与以外の給与に関する事項
5. 実務上の活用ポイント
事前確定届出給与は、以下のような場面で活用されます。
- 役員に対して夏季・冬季の賞与を支給したい場合
- 月額報酬を抑えて社会保険料負担を軽減しつつ、賞与で補填する設計
- 非常勤役員に対して年1〜2回の報酬を支給する場合
まとめ
事前確定届出給与は、届出期限と届出内容の厳守が絶対条件です。港区・新橋で事業を営む中小企業の経営者は、定時株主総会の開催時期を見据え、税理士と連携して確実に届出を行いましょう。
次回予告:第3回では、「役員報酬の最適額の決め方」について、法人税・所得税・社会保険料のバランスを考慮した実務的なシミュレーション手法を解説します。
よくある質問(Q&A)
- Q1: 届出期限を1日でも過ぎた場合はどうなりますか?
- A1: 届出期限を過ぎた場合、届出がなかったものとして取り扱われ、支給した役員賞与の全額が損金不算入となります。届出期限の管理は厳格に行う必要があります。
- Q2: 業績が悪化して届出どおりの賞与を支給できない場合はどうすればよいですか?
- A2: 業績悪化改定事由に該当する場合は、変更届出書を提出することで減額が認められます。届出期限は、業績悪化改定事由により変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日です。単なる資金繰りの都合では認められません。
- Q3: 非常勤役員への年1回の報酬も届出が必要ですか?
- A3: 同族会社の場合は、定期給与を支給しない非常勤役員に対する給与であっても、事前確定届出給与の届出が必要です。同族会社以外の法人が定期給与を支給しない役員に支給する場合は届出不要です。
根拠法令・参考判例
- 法人税法第34条第1項第2号(事前確定届出給与)
- 法人税法施行令第69条第4項・第5項(届出期限)
- 法人税基本通達9-2-14(届出どおりに支給しなかった場合)
参考リンク