2026年最新版 港区・新橋の中小企業経営者のための役員報酬改定の税務実務
第1回/全5回:定期同額給与の基本ルールと改定のタイミング
執筆:No.1税理士法人
5月から6月にかけて、3月決算法人の定時株主総会が集中する時期を迎えます。港区・新橋エリアで会社設立をされた中小企業の経営者にとって、この時期に最も重要な税務判断の一つが「役員報酬の改定」です。役員報酬は、法人税法上、損金算入が認められるための厳格な要件が定められており、その判断を誤ると思わぬ税負担が生じます。本連載では、全5回にわたり、役員報酬改定に関する税務実務を体系的に解説します。
1. なぜ今、役員報酬の改定を検討すべきなのか
法人税法第34条は、役員に対する給与のうち、損金の額に算入できるものを限定的に規定しています。中小企業で最も一般的な「定期同額給与」は、事業年度開始の日から3か月以内に改定を行うことが原則とされています。3月決算法人であれば、6月末日までに改定を完了させる必要があります。
港区・新橋で事業を営む中小企業の多くは3月決算を採用しており、まさに今(5月〜6月)が役員報酬改定の最適なタイミングです。税理士に相談しながら、適切な金額設定と手続きを行いましょう。
2. 定期同額給与とは何か
定期同額給与とは、以下のいずれかに該当する給与をいいます(法人税法第34条第1項第1号、法人税法施行令第69条第1項第1号)。
- 支給時期が1か月以下の一定期間ごとで、各支給時期における支給額(または源泉税等控除後の金額)が同額であるもの
- 一定の改定事由に基づき改定された場合に、改定前後の各期間における支給額がそれぞれ同額であるもの
- 継続的に供与される経済的利益のうち、毎月おおむね一定額であるもの
つまり、毎月同じ金額を支給し続けることが基本であり、年度途中での恣意的な増減額は損金不算入となります。
3. 改定が認められる3つのケース
定期同額給与の改定が損金算入を維持したまま認められるのは、以下の3つのケースに限られます。
- 通常改定:事業年度開始日の属する会計期間開始日から3か月を経過する日までにされる改定(3月決算法人なら6月末まで)
- 臨時改定事由:役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更等のやむを得ない事情による改定
- 業績悪化改定事由:経営状況が著しく悪化したこと等による減額改定(増額は不可)
4. 3月決算法人の具体的スケジュール
3月決算法人が定期同額給与の通常改定を行う場合の典型的なスケジュールは以下のとおりです。
- 5月中旬〜6月上旬:前期決算の確定、当期の業績予測の策定
- 6月中旬〜下旬:定時株主総会の開催、役員報酬の改定決議
- 7月支給分から:新しい報酬額での支給開始
国税庁のQ&Aでは、定時株主総会で改定を決議し、翌月の支給分から新報酬額を適用する場合も、改定前後の各期間でそれぞれ同額であれば定期同額給与に該当するとされています。
まとめ
役員報酬の改定は、法人税法上の厳格なルールに従って行う必要があります。港区・新橋エリアで会社設立後まもない経営者の方も、事業が軌道に乗ってきた経営者の方も、この5月〜6月の時期に税理士と相談のうえ、適切な報酬額の見直しを行うことが重要です。
次回予告:第2回では、「事前確定届出給与」の活用法と届出期限について詳しく解説します。役員賞与を損金算入するための具体的な手続きをお伝えします。
よくある質問(Q&A)
- Q1: 役員報酬を期中に増額した場合、全額が損金不算入になりますか?
- A1: 事業年度開始から3か月以内の通常改定であれば、改定前後それぞれの期間で同額であれば全額損金算入が認められます。ただし、3か月経過後に臨時改定事由にも業績悪化改定事由にも該当しない増額を行った場合は、増額部分が損金不算入となります。
- Q2: 会社設立直後の役員報酬はいつまでに決めればよいですか?
- A2: 新設法人の場合、設立の日から2か月以内に役員報酬を決定し、支給を開始する必要があります。港区で会社設立をされた場合、設立届出と併せて早期に報酬額を決定されることをお勧めします。
- Q3: 源泉税や社会保険料が変動しても定期同額給与に該当しますか?
- A3: はい。法人税法施行令の規定により、支給額から源泉所得税、住民税特別徴収額、社会保険料を控除した手取り額が同額であれば、定期同額給与に該当するものとされています。したがって、社会保険料率の改定等による手取り額の変動は問題ありません。
根拠法令・参考判例
- 法人税法第34条第1項第1号(役員給与の損金不算入)
- 法人税法施行令第69条第1項第1号(定期同額給与の範囲)
- 法人税基本通達9-2-13(業績悪化改定事由)
参考リンク