2026/11/6
11月に入り、港区・新橋エリアの経営者や総務・経理担当者の皆さまは年末調整の準備を始める時期です。令和8年分(2026年分)の年末調整は、令和8年度税制改正によって基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられ、扶養親族などの所得要件も変わりました。前年(令和7年分)に続いて2年連続の大きな改正です。本連載では、年末調整から法定調書の提出までを全5回で順に解説します。第1回は改正の全体像と、会社の実務に与える影響を整理します。
国税庁によると、今回の改正は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。そのため、令和8年12月に行う年末調整など、12月以後の源泉徴収事務が変わります。一方で、令和8年11月までの毎月の源泉徴収事務は変わりません。
税制改正大綱でも「見直し初年は、月次の源泉徴収等では対応せず年末調整からの対応とする」とされています。給与・賞与の源泉徴収税額表の改正は、令和9年1月1日以後に支払う給与等から適用されます。
所得税法第86条の基礎控除の本体部分(本則)が58万円から62万円になりました。さらに、租税特別措置法第41条の16の2による加算額も見直されています。令和8年分の基礎控除額は、合計所得金額に応じて次のとおりです。
なお、上乗せの加算は居住者だけに適用されます。また、令和10年分以後は加算の内容が変わる(合計所得金額132万円以下の場合のみ37万円加算)ため、「令和8・9年分の特例」として理解しておくことが大切です。
給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円に引き上げられました(令和8・9年分。租税特別措置法第29条の4の特例を適用した後の金額)。給与収入190万円以下なら控除額は74万円、190万円超220万円以下なら「収入金額×30%+8万円」です。給与収入220万円超の部分に改正はありません。
実務では、国税庁の「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使えば、改正内容が反映された給与所得を求められます。
基礎控除の引上げにあわせて、扶養親族や配偶者を判定する所得の基準も変わりました。詳しくは第2回で解説しますが、主な内容は次のとおりです。
11月までは改正前の税額表で源泉徴収しているため、12月の年末調整で改正後の控除をまとめて反映すると、従業員への還付額が例年より多くなることが考えられます。たとえば給与収入500万円の方(合計所得金額356万円)の場合、基礎控除は令和7年分の68万円から104万円となり、控除額が36万円増えます。所得税率5%なら約1.8万円、10%なら約3.6万円の所得税(復興特別所得税を除く)が軽くなる計算です。
還付金は原則として年末調整を行った月の源泉所得税から充てます。従業員数が多い会社や、会社設立間もなく源泉所得税の納付額が少ない会社では、資金繰りや納付書の作成手順を早めに確認しておきましょう。
令和8年分の年末調整では、基礎控除(最高104万円)と給与所得控除の最低保障額(74万円)の引上げ、扶養親族などの所得要件の引上げが中心です。改正は12月1日施行で、月々の源泉徴収は11月まで変わらず、年末調整でまとめて反映します。港区・新橋で会社設立して初めて年末調整を迎える企業はもちろん、毎年行っている企業も、昨年の手順をそのまま使わないよう注意してください。判断に迷う点は、早めに顧問税理士へ相談することをおすすめします。
次回予告:第2回では「扶養控除・配偶者控除・特定親族特別控除の判定実務」として、136万円・197万円・207万円といった新しい基準と、従業員から提出される申告書の確認ポイントを解説します。