2025/6/30
企業を持続的に成長させていくには膨大な資金が必要です。そこで、融資を利用して資金を確保しようと考える人もいるでしょう。
しかし、融資には返済義務があるため、将来を考えるとなかなか大きな金額を申込むのに躊躇してしまうこともあります。
そんな事業者の方は、補助金について検討してみるのがおすすめです。
この記事では、国や地方自治体から受けられる中小企業向けの補助金制度について分かりやすく解説します。
事業の運用資金について悩んでいる
補助金を申請したいが、どのような補助金があるのか分からない
自社に合った補助金制度を選ぶ方法を知りたい
上記に当てはまる方におすすめの情報を紹介しています。
ぜひ、最後までチェックしてみてください。
事業を経営していくなかで、会社を大きく成長させていくために、さまざまな投資が必要です。設備投資、システム投資、人材投資など、会社の成長に欠かせない要素を補うためには多くの資金が必要となるでしょう。
しかし、資金運用は会社の現状を十分に理解したうえで行わなければ、のちのち大変な事態に陥る可能性があります。売上を上げるための投資によって、資金が不足し、結果として会社の経営が苦しくなるケースも珍しくはありません。
また、予期せぬ事態に陥った時でも会社を維持できるよう、ある程度の蓄えを残しておくことを考えると、成長のための十分な資金を用意できないという事業者も少なくないでしょう。
そこでおすすめなのが、国や地方自治体が行っている補助金制度の活用です。補助金制度を活用することで、リスクを最小限に抑えた状態で企業の成長に必要な投資を行うことができます。
企業をさらに成長させ、大きく発展していくためにも、補助金を上手に活用して資金問題を解決しましょう。
資金調達の方法として補助金をおすすめするのには、いくつかの理由があります。
1つ目は、返済義務がないことです。
融資を受けた場合には、基本的に借りたお金を返済する必要があります。返済中は通常の支払いに返済金が加わり、十分に資金計画を立てなければ、円滑に返済を進めていくのが難しくなるでしょう。また、予想外の出来事が起こり大きな出費があった場合に、返済金が大きな負担となってのしかかります。
その点、補助金は基本的に返済義務がないため、返済金に関するリスクを回避できるでしょう。
2つ目は、高額な費用を申請できることです。
国や自治体が行っている事業支援には「補助金」「助成金」「給付金」などがあります。なかでも、最も大きな金額が動くのが補助金です。大きな資金が必要な場合には、補助金を選ぶのがよいでしょう。
3つ目は、社会的信用に繋がるからです。
補助金は申請して採択されるまでのハードルが高く、審査も厳しい傾向にあります。そのため、補助金の採択実績は会社の信用に繋がり、融資などを受ける際にプラスに働く可能性が高いです。
これら3つの理由から、企業にとって適切な補助金の活用をおすすめします。
補助金と助成金は、それぞれに異なる制度です。違いを理解したうえで、自社に最適なものを選びましょう。
補助金は、国や地方自治体が公共団体や企業、個人に対して支給する金銭を指します。ただし、特定産業の育成や一定の行政目的を達成することを制度の目的として設けているため、これらの要件に当てはまる公共団体、企業、個人しか受給することができません。
目的とする成果が大きい分、支給される金額も大きく、審査は比較的厳しく行われるのが特徴です。
基本的に返済義務はありませんが、事前に申請した成果を達成したことを報告すれば金銭が給付される「後払い制」と捉えておくとよいでしょう。
助成金は、特定の目的を達成するために支出される金銭であり、企業活動に限らず、文化活動や福祉活動など、さまざまな分野で活用されます。
基本的に要件を満たした状態で申請すれば助成金を受けとれるため、審査のハードルは補助金に比べると低いと言えるでしょう。
誰でも受け取れる分、助成金は補助金に比べると金額が小さいケースも多いです。
中小企業向けの補助金には、以下のようなものがあります。自社に適した要件のものを選び、活用しましょう。
正式名称は「中小企業省力化投資補助金」です。中小企業の売上拡大、生産性向上などを目的とした補助金で、企業経営において幅広く活用できるため人気が高まっています。
補助対象は「カタログ型」と「一般型」に分かれており、「カタログ型」では規定の製品カタログ内から導入したい設備機器を選択して注文、導入し、最大1,500万円の補助が受けられます。
一般型えは、個別の現場や事業内容に合わせた設備導入費やシステム構築費などの補助を申請でき、最大1億円の交付を受けることが可能です。
カタログ型は随時公募を受付しているのに対し、一般型は公募回制なので注意しましょう。
【省力化投資補助金「一般形」第3回公募スケジュール】
公募要領公開 | 令和7年6月中旬 |
申請開始日 | 令和7年8月上旬 |
申請締切日 | 令和7年8月下旬 |
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。革新的な新製品や新サービスの開発、海外需要開拓などを行う事業において、必要な設備投資費用などが補助対象となります。
ここで注意したいのは、「革新的な新製品や新サービス」と「海外需要開拓」が目的となっている点です。
単に設備投資を目的としている場合や同業者、同一地域内の普及程度の成果しか見込めない場合には、補助対象とならない可能性があります。また、既存工程の効率化などは、本補助金の要件とは異なるので対象外です。
革新的な新製品や新サービスに関しては最大2,500万円(従業員規模によって異なる)、海外需要の開拓に関しては最大3,000万円の補助が受けられる可能性があります。
【ものづくり補助金20次公募日程】
公募要領公開 | 令和7年4月25日(金) |
申請開始日 | 令和7年7月1日(火)17時 |
申請締切日 | 令和7年7月25日(金)17時 |
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業などに対して、 ITを導入することによる労働生産性向上を目的とした補助金です。
IT導入に関することであれば、幅広く活用できる補助金であり、ITツールはもちろん、クラウドサービス利用料やサポートサービスの利用費などにも利用できます。
ただし、補助金申請者は定められたIT導入支援事業者とパートナーシップを組んで申請することが必要なため、どのようなITサービスでも対象になる訳ではない点に留意しておきましょう。
申請枠は、「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」「インボイス枠(電子取引類型)」「セキュリティ対策推進枠」「複数社連携IT導入枠」などがあるため、補助金の利用目的を確認して、自社に最適なものを選んでください。
公募申請は随時行われており、2025年度は令和7年3月31日から交付申請が始まっています。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等の販路開拓、業務効率化などの促進を目的に交付される補助金です。尚、小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)は商工会議所の管轄地域で事業を行っている企業が対象となるため注意してください。
広報費、設備機器費、ウェブサイト関連費、開発費、資料購入費、設備処分費など、幅広い用途で活用できる補助金です。補助率は最大3分の2で、最大50万円の補助を受けられます。
すでに第17回公募の締切が令和7年6月13日に終了しており、第18回公募スケジュールが現在調整中です。
小規模事業者持続化補助金(創業型)は、創業3年以内の事業者を重点的に支援する目的で支給される補助金です。申請には、産業競争力強化法に基づく認定市区町村または認定市区町村と連携した認定連携創業支援等事業者が実施した特定創業支援等事業によって支援を受けていることが条件となります。公募締切日から過去3年の間に支援を受けた事業者は、同補助金の申請が可能です。
補助率は3分の2、最大200万円まで補助を受けられ、インボイス特例の条件を満たしている場合は50万円上乗せされます。
2025年度から開始された新しい補助金なので、知らない事業者も少なくないでしょう。第1回公募申請は令和7年6月16日に締切られています。第2回公募要領の公開は現時点で未定です。
事業継承・M&A補助金は、事業継承の際に新しい取り組みを行う中小企業を支援する目的で支給される補助金です。また、事業再編、事業統合などM&Aに取り組む中小企業も対象となります。
経営者の交代と共に事業形態に変化を取り入れる中小企業や専門業種を引継ぎ買い手を支援する取り組みなど、公式サイトにはさまざまな事例も紹介されているのでチェックしてみてはいかがでしょうか。
第11次公募(最新)については、令和7年6月6日に申請締切を迎えているため、利用を検討している人は、次回公募についての情報をお待ちください。
新事業進出補助金は、新事業に参入する中小企業を支援する補助金です。2025年4月に新しくできた補助金制度であり、別分野への新規参入を検討している多くの中小企業から注目を集めています。
既存業種と異なる業種に挑戦する際に必要な設備投資、外注費、専門家雇用費、広告宣伝費などが対象となり、補助率は最大2分の1、最大7,000万円(特例適用の場合は9,000万円)の補助が受けられます。
【新事業進出補助金第1次公募日程】
公募要領公開 | 令和7年4月22日(火) |
申請開始日 | 令和7年6月17日(火) |
申請締切日 | 令和7年7月10日(木)18時 |
成長加速化補助金は、売上高100億円を目指し企業を成長させるための融資を必要としている企業に対して支援する補助金です。2025年に新しく制定された補助金であり、申請が採択された企業は「100億円宣言」を行い、同じく採択された企業同士で情報交換などを行いながら加速的な企業成長を目指します。
第1次公募については、令和7年6月9日に申請締切が終了しているため、補助金を利用したい場合は、次の公募情報をお待ちください。
省エネ診断・省エネ・非化石転換補助金は、企業が先進的な省エネ設備などの費用を一部支援する目的で支給される補助金です。
向上や事業所に合わせた特注品の省エネ設備や汎用型の省エネ設備、電化および脱炭素化を実現する設備導入費用が対象となります。中小企業の場合は費用の3分の2、年間最大15億円の補助が受けられます。
【省エネ診断・省エネ・非化石転換補助金2次公募日程】
申請開始日 | 令和7年6月2日(月) |
申請締切日 | 令和7年7月10日(木) |
業務改善助成金は厚生労働省が行っている助成金であり、生産性向上や賃上げを目的として支給されます。女性上限は最大600万円ですが、企業の規模や賃金の引上げ額などによって細かく分類されるため、公募要領をしっかりと確認しましょう。
また、対象経費に関しても一般事業者と特例事業者では内容が異なります。一般事業者は生産性向上の効果が期待される設備投資のみが対象となる一方、特例事業者の場合は定員7人以上の車両やPC、スマホ端末なども対象経費とみなされます。
【新事業進出補助金第1次公募日程】
公募要領公開 | 令和7年4月9日(火) |
申請開始日 | 令和7年6月17日(火) |
申請締切日 | 令和7年7月10日(木)18時 |
補助金の申請は個人でも行うことができます。しかし、税理士や社労士、行政書士などの専門家に依頼する方法がおすすめです。
なぜなら、専門家に依頼することで以下のメリットがあるからです。
自社に適した助成金制度を教えてもらえる
補助金申請にかかる時間や手間を軽減できる
助成金申請に関するノウハウがあるため、採択率が上がる
専門的な知見から事業計画をブラッシュアップしてもらえる
補助金の使い方についてのアドバイスを受けられる
特に、これまで補助金を申請したことがない事業者にとっては、右も左も分からないなか専門的な知見をもってアドバイスをしてくれる存在は、非常に有用と言えるでしょう。
依頼費用と補助金が採択された場合の利益を比較しても、コストパフォーマンスの良さは歴然です。
助成金申請に強みを持つ専門家に依頼し、採択を目指しましょう。
助成金は、採択率が低いものの高額な費用補助を受けられる可能性がある魅力的な制度です。自社をさらに成長させるために、適切な補助制度を選び、活用してみてはいかがでしょうか。
ただし、補助金は採択された後も交付申請の際にさまざまな規定を遵守し手続きをする必要があり、何の知識も持たない個人が行うにはハードルが高いと感じる人も少なくありません。補助金の申込や申請に自信がない場合は、ぜひNo.1税理士法人にお任せください。
豊富な経験と知識を持つ税理士が、補助金申請や費用運用について親身にアドバイスいたします。補助金でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問合せください。