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【第5回/全5回】港区での会社設立完全ガイド|設立後に必須の税務・社会保険手続き

2025/12/5

【第4回】創業融資と助成金をフル活用する資金調達術 はこちら

全5回にわたってお届けしてきた「港区での会社設立完全ガイド」、いよいよ最終回です。法務局での登記が完了し、晴れて会社の代表となった皆様、本当におめでとうございます。しかし、会社設立はゴールではなく、新たなスタートです。

最終回となる第5回は、「会社設立後に必ず行わなければならない手続き」についてです。税務署や年金事務所など、各行政機関への届出は、提出期限が厳しく定められています。手続きの漏れは、後々の追徴課税や社会的な信用の失墜にも繋がりかねません。スムーズな事業運営の第一歩として、設立後の手続きを確実に押さえましょう。

まずはここから!税務署への届出

会社を設立したら、まず最初に「税務署」への届出が必要です。本店所在地である港区を管轄するのは「麻布税務署」または「芝税務署」となります。

(出典:芝及び麻布税務署の管轄区域の変更について

1. 法人設立届出書

  • 内容: 「こういう会社を設立しました」と税務署に知らせるための最も基本的な書類です。
  • 添付書類: 定款のコピー、登記事項証明書など。
  • 提出期限: 設立の日から2ヶ月以内

2. 青色申告の承認申請書

  • 内容: 法人税の申告方法として、税制上の様々な優遇措置が受けられる「青色申告」を選択するための申請書です。
  • メリット:
    • 欠損金の繰越控除: 赤字(欠損金)を最大10年間繰り越し、将来の黒字と相殺できる。
    • 少額減価償却資産の特例: 30万円未満の資産を一括で経費にできる。
    • その他、多数の優遇措置あり。
  • 提出期限: 設立の日から3ヶ月を経過した日の前日まで。期限を1日でも過ぎると、初年度は青色申告が適用できず、大きな節税機会を逃すことになります。設立届と同時に提出するのが最も確実です。

3. 給与支払事務所等の開設届出書

  • 内容: 役員報酬や従業員への給与を支払う場合に提出します。これにより、会社は源泉所得税を国に納付する義務を負います。
  • 提出期限: 給与を支払う事務所を開設した日から1ヶ月以内

4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

  • 内容: 原則として毎月納付が必要な源泉所得税を、年2回(7月と1月)のまとめ払いに変更できる制度です。事務負担が大幅に軽減されます。
  • 適用要件: 給与の支給人員が常時10人未満であること。
  • 提出期限: 特に定めはありませんが、適用を受けたい月の前月末までに提出します。これも設立時に一緒に提出するのがおすすめです。

都税事務所・港区役所への届出

税金の納付先は、国(税務署)だけではありません。都道府県と市区町村にも届出が必要です。

法人設立・設置届出書

  • 内容: 税務署に提出した「法人設立届出書」の都道府県・市区町村版です。
  • 提出先:
    • 東京都港都税事務所
    • 港区役所
  • 添付書類: 定款のコピー、登記事項証明書
  • 提出期限:
    • 都税事務所:事業開始の日から15日以内
    • 港区役所:設立の日から30日以内
    • ※自治体により期限が異なるため注意が必要です。

従業員がいなくても必須!社会保険の手続き

法人を設立した場合、たとえ社長1人の会社であっても、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が法律で義務付けられています。 個人事業主との大きな違いであり、非常に重要な手続きです。

(出典:日本年金機構 新規適用の手続き

新規適用届

  • 内容: 会社として、健康保険・厚生年金保険に加入するための届出です。
  • 提出先: 本店所在地を管轄する年金事務所(港区の場合は「港年金事務所」または「品川年金事務所」)
  • 添付書類: 登記事項証明書
  • 提出期限: 設立の事実があった日から5日以内(非常に短いため注意!)

被保険者資格取得届

  • 内容: 役員や従業員一人ひとりを、社会保険に加入させるための届出です。社長自身の分も提出します。
  • 提出先: 新規適用届と同時に年金事務所へ
  • 提出期限: 設立の事実があった日から5日以内

社会保険料は会社と個人で折半して負担します。会社の経費負担は増えますが、個人の将来の年金額が増えたり、手厚い健康保険の給付が受けられたりと、メリットも大きい制度です。


従業員を雇用した場合の労働保険の手続き

役員だけでなく、従業員を1人でも雇用した場合には、さらに「労働保険(労災保険・雇用保険)」の手続きが必要になります。

1. 労働保険関係成立届

  • 内容: 労働保険の適用事業所となったことを届け出る書類です。
  • 提出先: 労働基準監督署
  • 提出期限: 従業員を雇用した日の翌日から10日以内

2. 雇用保険適用事業所設置届・資格取得届

  • 内容: 会社として雇用保険に加入し、従業員を被保険者とするための届出です。
  • 提出先: ハローワーク(公共職業安定所)
  • 提出期限: 従業員を雇用した日の翌日から10日以内

【総まとめ】港区での会社設立を成功させるために

全5回にわたり、港区で会社を設立するためのノウハウを解説してきました。

  • 第1回: 港区のビジネス上の強みと、株式会社・合同会社の選択、基本事項の決定。
  • 第2回: 会社の憲法「定款」の作成と、費用を4万円節約する電子定款。
  • 第3回: 会社を法的に誕生させる「登記申請」の具体的な手順。
  • 第4回: 事業を加速させる「創業融資」と、港区・東京都の「補助金・助成金」。
  • 第5回: 設立後に必須となる「税務・社会保険」の各種届出。

会社設立は、多くの専門知識と煩雑な手続きを伴います。しかし、一つ一つのステップを確実にクリアしていくことで、あなたの理想の事業を実現する強固な土台を築くことができます。

私たちNo.1税理士法人は、港区での会社設立を数多く支援してきた専門家集団です。複雑な手続きの代行はもちろん、あなたにとって最適な資金調達のアドバイスや、設立後の税務・会計サポートまで、ワンストップで伴走いたします。

初回のご相談は無料です。 港区での会社設立・起業をお考えなら、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。あなたの夢の実現を、私たちが全力でサポートします。


【会社設立後の手続きに関するQ&A】

Q1. 社長1人だけの会社ですが、本当に社会保険に入らなければいけませんか?国民健康保険と国民年金のままではダメなのでしょうか?

A1. はい、法律上の義務です。法人の場合、役員報酬が支払われていれば、たとえ社長1人でも健康保険・厚生年金保険への加入が強制適用となります。国民健康保険・国民年金を継続することは原則として認められません。未加入が発覚した場合、過去2年間に遡って保険料を追徴されるペナルティが課される可能性があります。設立後5日以内というタイトな期限ですので、速やかに手続きを行いましょう。

Q2. 青色申告の承認申請書を出し忘れてしまいました。何か不利益はありますか?

A2. 非常に大きな不利益があります。提出期限を過ぎてしまうと、設立1期目の確定申告は自動的に「白色申告」となります。これにより、赤字を翌期以降に繰り越せる「欠損金の繰越控除」や、30万円未満の資産を一括経費にできる「少額減価償却資産の特例」といった、青色申告の持つ強力な節税メリットが一切受けられなくなります。設立1期目は赤字になるケースも多いため、この赤字を将来の黒字と相殺できないのは、資金繰りにおいて大きな痛手となります。

Q3. 設立後の届出がたくさんあって、どこに何を提出すればいいか混乱してしまいます。何か良い方法はありますか?

A3. 現在は、政府が運営するオンラインサービス「法人設立ワンストップサービス」を利用することで、一部の届出(法人設立届出書、青色申告承認申請書、社会保険の新規適用届など)を一度の入力でまとめて提出することが可能です。しかし、全ての届出に対応しているわけではなく、事前の設定も必要です。設立直後の多忙な時期に、これらの手続きをご自身でミスなく期限内に行うのは大変な労力です。税理士や社会保険労務士などの専門家に依頼することで、本業に集中しながら、必要な手続きを漏れなく確実に行うことができます。

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