2025/11/21
港区での会社設立、いよいよ最終段階です。第2回で解説した定款の作成・認証が完了したら、次はいよいよ法務局へ「設立登記」を申請します。この登記申請が受理された日(法務局に書類を提出した日)が、あなたの会社の「設立日」となります。
連載第3回は、この「登記申請」に焦点を当てます。資本金の払い込みから、複雑に見える登記書類の作成、そして申請方法まで、一つ一つのステップを丁寧に解説していきます。
定款の認証が終わったら、登記申請の前に、発起人(出資者)が定めた資本金を個人の銀行口座に払い込む必要があります。この時点ではまだ会社名義の口座は作れないため、発起人代表の個人口座を使用します。
次に、払い込みが完了したことを証明する「払込証明書」という書類を作成します。
【払込証明書の記載内容】
この払込証明書と、先ほどコピーした通帳の3ページをセットにしてホチキスで留め、各ページのつなぎ目に会社の実印で「契印」を押します。これで資本金の準備は完了です。
登記申請には、多くの書類が必要です。一つでも不備があると再提出となり、希望の設立日に登記できない可能性もあるため、慎重に準備しましょう。港区を管轄する法務局は「東京法務局 本局」です。
(出典:法務局 商業・法人登記の申請書様式)
これらの書類を作成し、順番通りに重ねて左側をホチキスで2箇所留めます。そして、書類のつなぎ目すべてに会社の実印で「契印」を押します。
書類の準備が整ったら、いよいよ法務局へ申請します。申請方法には3つの選択肢があります。
メリット:
デメリット:
港区の管轄である東京法務局本局は千代田区九段南にあります。
メリット:
デメリット:
メリット:
デメリット:
ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。特に設立日にこだわりがある方は、窓口での直接申請が最も確実です。
登記申請後、おおよそ1週間〜10日ほどで登記が完了します。登記が完了したら、会社が法的に認められた証である以下の書類を取得しましょう。
これらの書類は、法務局の窓口や郵送、オンラインで取得できます。
今回は、会社設立の最終ステップである「登記申請」について解説しました。
資本金の払い込みから膨大な書類作成まで、ご自身で行うには多くの時間と労力がかかります。特に、書類の不備は設立日の遅れに直結するため、細心の注意が必要です。
専門家に依頼すれば、これらの煩雑な手続きをすべて代行し、希望の設立日に向けてスムーズに会社を誕生させることが可能です。
次回予告
最終回を前に、第4回では「資金調達・助成金編」をお届けします。港区や東京都の制度をフル活用して、事業のスタートダッシュを成功させるための資金調達術を徹底解説します。
Q1. 会社設立日は、自由に選べるのでしょうか?大安などが良いのですが。
A1. 会社設立日は、法務局に登記申請書を提出した日となります。したがって、法務局が開庁している平日であれば、自由に選ぶことが可能です。土日祝日や年末年始は申請ができないため、設立日にはできません。六曜(大安、友引など)の良い日や、記念日などを設立日に選ぶ経営者の方は非常に多くいらっしゃいます。希望日がある場合は、その日に申請できるよう、事前にスケジュールを立てて書類準備を進めることが重要です。
Q2. 会社の実印(代表者印)は、どのようなものを用意すれば良いですか?
A2. 法律上の厳密なルールはありませんが、一般的には「丸印」で、二重の円の外側に会社名、内側に役職名(代表取締役印など)を彫刻したものが使われます。大きさは、印鑑届書で登録できるサイズが「辺の長さが1cmを超え、3cm以内の正方形に収まるもの」と定められています。セキュリティの観点から、偽造されにくい書体を選び、長く使えるよう耐久性のある素材(チタンや黒水牛など)で作成することをおすすめします。
Q3. 登記申請を自分で行う場合、費用はどのくらいかかりますか?
A3. 専門家に依頼せず、すべてご自身で手続きを行った場合の法定費用(必ずかかる費用)の目安は以下の通りです。
【株式会社の場合】
・定款認証手数料:約52,000円
・定款の謄本手数料:約2,000円
・登録免許税:150,000円~
・合計:約204,000円~
【合同会社の場合】
・登録免許税:60,000円~
・合計:約60,000円~
これに加えて、会社の実印作成費用や、発起人・役員の印鑑証明書取得費用などがかかります。第2回で解説した「電子定款」を利用すれば、ここから収入印紙代4万円を節約できます。