お役立ちコラム

【第3回/全5回】港区での会社設立完全ガイド|法務局への登記申請・完全マニュアル

2025/11/21

【第2回】費用を4万円節約する電子定款の作り方 はこちら

港区での会社設立、いよいよ最終段階です。第2回で解説した定款の作成・認証が完了したら、次はいよいよ法務局へ「設立登記」を申請します。この登記申請が受理された日(法務局に書類を提出した日)が、あなたの会社の「設立日」となります。

連載第3回は、この「登記申請」に焦点を当てます。資本金の払い込みから、複雑に見える登記書類の作成、そして申請方法まで、一つ一つのステップを丁寧に解説していきます。

登記申請の前に必須!「資本金」の払い込み

定款の認証が終わったら、登記申請の前に、発起人(出資者)が定めた資本金を個人の銀行口座に払い込む必要があります。この時点ではまだ会社名義の口座は作れないため、発起人代表の個人口座を使用します。

払い込みの手順と注意点

  1. 発起人代表の個人口座を用意する: 新しく口座を開設する必要はなく、既存の口座で問題ありません。
  2. 各発起人が資本金を振り込む:
    • 重要ポイント: 必ず預金通帳に「誰が」「いくら」振り込んだか履歴が残るようにしてください。発起人が複数いる場合は、各発起人の名前で振り込んでもらいます。
    • 発起人が1人の場合: 口座に一度預け入れを行います。残高を資本金額に合わせるだけではNGです。資本金が確かに入金されたという「動き」を通帳に記帳することが重要です。
  3. 通帳のコピーを取る: 以下の3つのページをコピーします。
    • 通帳の表紙
    • 表紙を1枚めくった、銀行名・支店名・口座番号・名義人が記載されたページ
    • 資本金の入金が記帳されたページ

「払込証明書」を作成する

次に、払い込みが完了したことを証明する「払込証明書」という書類を作成します。

【払込証明書の記載内容】

  • 表題: 払込証明書
  • 払い込みがあった金額の総額: (例)金3,000,000円
  • 払い込みがあった株数: (例)300株
  • 1株の払込金額: (例)金10,000円
  • 日付: 資本金の払い込みが完了した日以降の日付
  • 本店所在地: 会社の住所
  • 商号: 会社名
  • 代表取締役の氏名: 押印(会社の実印)

この払込証明書と、先ほどコピーした通帳の3ページをセットにしてホチキスで留め、各ページのつなぎ目に会社の実印で「契印」を押します。これで資本金の準備は完了です。


複雑でも大丈夫!登記申請に必要な書類一覧

登記申請には、多くの書類が必要です。一つでも不備があると再提出となり、希望の設立日に登記できない可能性もあるため、慎重に準備しましょう。港区を管轄する法務局は「東京法務局 本局」です。

(出典:法務局 商業・法人登記の申請書様式

必ず必要になる書類

  1. 登記申請書: 法務局のウェブサイトから雛形をダウンロードできます。商号、本店所在地、登記すべき事項などを記載します。
  2. 登録免許税納付用台紙: 登録免許税分の収入印紙を貼り付ける台紙です。登録免許税は、資本金の額の0.7%、最低15万円(合同会社は6万円)です。
  3. 定款: 公証役場で認証を受けたもの。電子定款の場合は、データをCD-Rなどに保存して提出します。
  4. 発起人の決定書(または発起人会議事録): 本店所在地を定款で「東京都港区」までしか定めていない場合に、具体的な地番まで決定したことを証明する書類です。
  5. 取締役の就任承諾書: 設立時の役員が就任を承諾したことを証明する書類です。
  6. 印鑑証明書: 設立時取締役全員の、発行後3ヶ月以内の印鑑証明書が必要です。
  7. 払込証明書: 前項で作成した、通帳コピーとセットにしたものです。
  8. 印鑑届書: 会社の実印を法務局に登録するための書類です。

状況によって必要になる書類

  • 取締役会議事録: 取締役会を設置する会社の場合に必要です。
  • 現物出資に関する書類: 金銭以外で出資した場合に必要です。

これらの書類を作成し、順番通りに重ねて左側をホチキスで2箇所留めます。そして、書類のつなぎ目すべてに会社の実印で「契印」を押します。


登記申請の3つの方法とメリット・デメリット

書類の準備が整ったら、いよいよ法務局へ申請します。申請方法には3つの選択肢があります。

1. 法務局の窓口で申請

メリット:

  • その場で書類の形式的な不備をチェックしてもらえる可能性がある。
  • 相談コーナーで疑問点を確認できる。
  • 最も確実で安心感がある。

デメリット:

  • 法務局の開庁時間(平日8:30〜17:15)に行く必要がある。
  • 混雑している場合、待ち時間が長い。

港区の管轄である東京法務局本局は千代田区九段南にあります。

2. 郵送で申請

メリット:

  • 法務局へ行く時間がない場合に便利。
  • 24時間いつでも発送できる。

デメリット:

  • 書類が法務局に到着した日が「申請日」となるため、設立日にこだわりがある場合は日程調整に注意が必要。
  • 書類に不備があった場合、電話でのやり取りや郵送での再提出となり、時間がかかる。
  • 必ず「書留郵便」または「信書便」で送る必要があります。

3. オンライン(gBizFORM)で申請

メリット:

  • 法務局へ行かずに、24時間いつでも自宅やオフィスから申請できる。
  • 登録免許税の支払いをインターネットバンキングで行える。

デメリット:

  • マイナンバーカードやICカードリーダライタ、専用ソフトの準備が必要。
  • システム操作に慣れていないと、かえって時間がかかる可能性がある。

ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。特に設立日にこだわりがある方は、窓口での直接申請が最も確実です。


登記完了後に必ずやること

登記申請後、おおよそ1週間〜10日ほどで登記が完了します。登記が完了したら、会社が法的に認められた証である以下の書類を取得しましょう。

  • 登記事項証明書(登記簿謄本): 会社の公式な証明書。銀行口座の開設や融資、各種契約で必ず必要になります。複数枚取得しておきましょう。
  • 印鑑カード: 今後、法務局で会社の印鑑証明書を取得するために必要なカードです。
  • 印鑑証明書: 登記事項証明書と同様、様々な手続きで必要になります。

これらの書類は、法務局の窓口や郵送、オンラインで取得できます。

まとめ:登記申請は会社の誕生日を決める重要な手続き

今回は、会社設立の最終ステップである「登記申請」について解説しました。
資本金の払い込みから膨大な書類作成まで、ご自身で行うには多くの時間と労力がかかります。特に、書類の不備は設立日の遅れに直結するため、細心の注意が必要です。

専門家に依頼すれば、これらの煩雑な手続きをすべて代行し、希望の設立日に向けてスムーズに会社を誕生させることが可能です。

次回予告
最終回を前に、第4回では「資金調達・助成金編」をお届けします。港区や東京都の制度をフル活用して、事業のスタートダッシュを成功させるための資金調達術を徹底解説します。


【会社設立の登記申請に関するQ&A】

Q1. 会社設立日は、自由に選べるのでしょうか?大安などが良いのですが。

A1. 会社設立日は、法務局に登記申請書を提出した日となります。したがって、法務局が開庁している平日であれば、自由に選ぶことが可能です。土日祝日や年末年始は申請ができないため、設立日にはできません。六曜(大安、友引など)の良い日や、記念日などを設立日に選ぶ経営者の方は非常に多くいらっしゃいます。希望日がある場合は、その日に申請できるよう、事前にスケジュールを立てて書類準備を進めることが重要です。

Q2. 会社の実印(代表者印)は、どのようなものを用意すれば良いですか?

A2. 法律上の厳密なルールはありませんが、一般的には「丸印」で、二重の円の外側に会社名、内側に役職名(代表取締役印など)を彫刻したものが使われます。大きさは、印鑑届書で登録できるサイズが「辺の長さが1cmを超え、3cm以内の正方形に収まるもの」と定められています。セキュリティの観点から、偽造されにくい書体を選び、長く使えるよう耐久性のある素材(チタンや黒水牛など)で作成することをおすすめします。

Q3. 登記申請を自分で行う場合、費用はどのくらいかかりますか?

A3. 専門家に依頼せず、すべてご自身で手続きを行った場合の法定費用(必ずかかる費用)の目安は以下の通りです。
【株式会社の場合】
・定款認証手数料:約52,000円
・定款の謄本手数料:約2,000円
・登録免許税:150,000円~
・合計:約204,000円~
【合同会社の場合】
・登録免許税:60,000円~
・合計:約60,000円~
これに加えて、会社の実印作成費用や、発起人・役員の印鑑証明書取得費用などがかかります。第2回で解説した「電子定款」を利用すれば、ここから収入印紙代4万円を節約できます。

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