お役立ちコラム

【第1回/全5回】港区での会社設立完全ガイド|起業のメリットと会社形態の選び方

2025/11/7

「自分の事業を始めたい」「港区で法人を設立したい」とお考えの皆様へ。

この連載記事では、港区で会社設立を目指す起業家の方々に向けて、必要な知識と手続きを全5回にわたり徹底的に解説します。記念すべき第1回は、会社設立の「準備編」です。

なぜビジネスの拠点として港区が選ばれるのか、その魅力から、株式会社と合同会社どちらを選ぶべきか、そして設立前に決めておくべき基本事項まで、成功への第一歩を具体的にガイドします。

なぜ港区?新橋?起業の地に選ばれる4つの圧倒的メリット

数あるエリアの中で、なぜ港区や新橋が起業家に選ばれるのでしょうか。それは、他のエリアにはないビジネス上の強力なアドバンテージがあるからです。

(出典:港区ホームページ

メリット1:卓越したブランドイメージと信頼性

港区(特に青山、赤坂、六本木、麻布など)や新橋に本社を構えることは、それだけで企業のブランドイメージと社会的信用力を大きく高めます。
名刺に記載された「東京都港区」の住所は、取引先や金融機関、そして顧客に対して「しっかりとした基盤を持つ企業」という安心感を与え、ビジネスを円滑に進める上で有利に働きます。

メリット2:ビジネスチャンスを最大化する交通アクセス

港区は、JRや東京メトロの主要路線が集中する、都内屈指の交通の要所です。

  • 新橋駅: JR山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線、東京メトロ銀座線、都営浅草線、ゆりかもめが利用可能。
  • 品川駅: 新幹線が停車し、羽田空港へのアクセスも京急線で約15分。
  • その他: 表参道、赤坂見附、六本木など、多数の駅が点在。

この優れたアクセスは、顧客訪問、従業員の通勤、地方や海外からの来客対応など、あらゆるビジネスシーンにおいて時間的コストを削減し、機会損失を防ぎます。

メリット3:多様なビジネスコミュニティと情報集積地

港区には、外資系企業、ITベンチャー、大手広告代理店、コンサルティングファームなど、多種多様な企業が集積しています。
これにより、以下のようなメリットが生まれます。

  • 新たな協業や提携の機会創出
  • 最先端のビジネストレンドや情報の入手
  • 優秀な人材の確保

異業種交流会やセミナーも頻繁に開催されており、刺激的なビジネスコミュニティに参加できることも大きな魅力です。

メリット4:手厚い公的支援制度

港区は、起業家を支援するための制度が非常に充実しています。専門家による経営相談から、資金調達のサポートまで、起業の各ステージに応じた支援が用意されています。

  • 港区立産業振興センター: 経営相談、セミナー、融資あっせんなど、創業に関するあらゆるサポートを提供しています。(出典:港区立産業振興センター
  • 融資あっせん制度・利子補給制度: 会社設立時の運転資金や設備資金の調達を支援します。
  • スタートアップ企業向けの補助金: 新製品開発や販路拡大にかかる費用の一部を補助する制度などがあります。

これらのメリットを最大限に活用することで、事業のスタートダッシュを成功させることができます。


株式会社 vs 合同会社 あなたに最適なのはどっち?

法人にはいくつかの種類がありますが、ほとんどの場合は「株式会社」か「合同会社」のどちらかを選択することになります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の事業計画に合った形態を選びましょう。

比較項目株式会社 (K.K.)合同会社 (G.K.)
社会的信用度非常に高い。上場も可能で、資金調達の選択肢が広い。高いが、株式会社に比べるとやや劣る場合がある。
設立費用(目安)約25万円〜(定款印紙代、登録免許税など)約10万円〜(登録免許税など)
意思決定株主総会で行う(所有と経営が分離)社員(出資者)の同意で行う(所有と経営が一致)
利益の配分出資比率(株式の保有数)に応じて配当定款で自由に決めることができる
役員の任期原則2年(最長10年まで伸長可)。任期ごとに登記が必要。任期なし。登記の変更が不要。
資金調達株式発行による増資、社債発行など多様基本的には出資者からの追加出資や借入

こんな方には「株式会社」がおすすめ

  • 将来的に上場(IPO)を目指している
  • 外部からの大規模な資金調達(出資)を考えている
  • BtoBビジネスで、企業の信用度を最大限に高めたい

こんな方には「合同会社」がおすすめ

  • 設立費用をできるだけ抑えたい
  • 個人事業主の延長線上で、スピーディーな意思決定をしたい
  • 役員の任期更新などの手間を省きたい
  • 利益の配分を柔軟に決めたい

どちらの形態も、設立後に変更すること(合同会社から株式会社へ)も可能です。まずはご自身の事業の将来像を具体的にイメージし、最適な会社形態を選択することが重要です。


会社設立前に必ず決めるべき7つの基本事項

会社形態が決まったら、次に定款作成や登記申請に必要となる会社の基本事項を決定します。これらは会社の根幹となる重要な項目です。

1. 商号(会社名)

会社の顔となる名前です。以下のルールを守る必要があります。

  • 株式会社または合同会社という文字を入れる
  • 同一住所で同一の商号は登記できない
  • 有名企業と間違われるような名前は避ける(不正競争防止法)

法務局のオンラインシステムで、同一商号・同一本店の会社がないか事前に調査することができます。また、ドメインが取得可能かどうかも合わせて確認しておくと良いでしょう。

2. 事業目的

その会社がどのような事業を行うのかを具体的に記載します。

  • 適法性: 公序良俗に反しない、合法的な事業であること。
  • 明確性: 誰が見ても事業内容を理解できる言葉で記載すること。
  • 具体性: 将来行う可能性のある事業も、いくつか記載しておくと良いでしょう。事業目的を追加する際には登記変更が必要になり、費用がかかります。

(参考:中小企業庁 会社設立の手続き

3. 本店所在地

会社の「住所」です。自宅、賃貸オフィス、バーチャルオフィスなど、様々な選択肢があります。

  • 港区、新橋エリアに本店を置くことで、前述したブランドイメージや公的支援のメリットを享受できます。
  • 賃貸物件の場合、契約書で法人登記が可能かどうかを必ず確認してください。

4. 資本金の額

事業の元手となる資金です。法律上は1円から設立可能ですが、以下の点を考慮して金額を決めることが重要です。

  • 当面の運転資金: 設立後、すぐに売上が立たない場合を想定し、最低でも3〜6ヶ月分の運転資金(家賃、人件費、仕入費など)を準備するのが一般的です。
  • 社会的信用度: 資本金の額は登記簿に記載され、誰でも閲覧できます。あまりに少額だと、取引先や金融機関からの信用度が低くなる可能性があります。
  • 許認可の要件: 建設業や人材派遣業など、特定の事業を行うためには一定額以上の資本金が許認可の要件となっている場合があります。
  • 消費税の免税: 資本金が1,000万円未満の場合、原則として設立から2年間は消費税の納税が免除されます。

5. 発起人(出資者)

会社を設立する人、つまり資本金を出す人です。株式会社の場合は「発起人」、合同会社の場合は「社員」と呼ばれます。誰が、いくら出資するのかを決めます。

6. 役員構成

会社の経営を行う人たちです。

  • 株式会社: 取締役1名以上が必要です。取締役会を設置する場合は、取締役3名以上と監査役1名以上が必要になります。
  • 合同会社: 業務執行社員を定めます。出資者(社員)全員を業務執行社員とすることも可能です。

7. 事業年度(決算期)

会社の会計期間です。自由に決めることができますが、一般的には以下の点を考慮して決定します。

  • 繁忙期を避ける: 決算申告の時期が事業の繁忙期と重ならないように設定します。
  • 資金繰り: 消費税の免税期間を最大限活用するため、設立日から最も遠い月を決算月に設定するケースもあります。

まとめ:成功の鍵は周到な準備にあり

今回は、「港区で会社設立をするメリット」「会社形態の選択」「設立前の基本決定事項」について解説しました。

会社設立は、単なる手続きではありません。あなたの事業の未来を左右する重要な意思決定の連続です。特に、本日解説した基本事項は、一度決めると変更に手間や費用がかかるものも多いため、専門家のアドバイスも参考にしながら、慎重に検討を進めましょう。

次回予告
第2回は「定款作成・認証編」です。会社の憲法とも言われる「定款」の作り方と、設立費用を4万円節約できる電子定款のメリットについて詳しく解説します。


【港区での会社設立に関するQ&A】

Q1. 港区に住んでいなくても、港区で会社を設立できますか?

A1. はい、可能です。代表者の方の住所が港区外であっても、本店所在地を港区に設定すれば、港区で会社を設立することができます。バーチャルオフィスやレンタルオフィスを本店所在地として登記することも一般的です。ただし、融資制度など一部の公的支援では、代表者の居住地や事業の実態が問われる場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。

Q2. 新橋のバーチャルオフィスで法人登記を考えていますが、何かデメリットはありますか?

A2. バーチャルオフィスは、初期費用を抑えられる大きなメリットがありますが、デメリットも存在します。例えば、法人口座の開設審査が厳しくなる傾向があります。また、許認可が必要な事業(人材派遣業、古物商など)では、事業実態がないとして認められない場合があります。ご自身の事業内容でバーチャルオフィスが適切かどうか、事前に金融機関や管轄の行政庁に確認することが重要です。

Q3. 資本金は1円でも良いと聞きましたが、本当に大丈夫でしょうか?

A3. 法律上は1円での設立も可能ですが、実務上はおすすめできません。資本金は会社の体力や信用度を示す指標の一つです。資本金が極端に少ないと、金融機関からの融資が受けにくくなったり、取引先に不安を与えたりする可能性があります。また、設立直後の運転資金がなければ、すぐに事業が立ち行かなくなるリスクもあります。事業計画に基づき、最低3ヶ月以上の運転資金を目安に資本金額を決定することをおすすめします。

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