お役立ちコラム

新橋 103万円の壁 税理士が指南!2025年 最低限抑えておきたい年末調整実務 第2回/全5回

2025/9/9

【第2回】さようなら103万円の壁!新しくできた複数の「年収の壁」を徹底解剖

皆様、こんにちは。港区新橋の税理士法人のNo.1税理士法人です。
全5回シリーズでお届けする「2025年 最低限抑えておきたい年末調整実務」、第2回のテーマは、パート・アルバイトで働く方やそのご家族にとって最も関心の高い「年収の壁」についてです。特に多くの飲食店やサービス業が軒を連ねるここ新橋エリアでは、この問題は避けて通れません。

前回、2025年の税制改正の基本として「控除額が大幅に引き上げられる」というお話をしました。この変更に伴い、長年日本の労働慣行に深く根付いてきた、あの「103万円の壁」が実質的に崩壊します。

しかし、話は「上限が上がって終わり」という単純なものではありません。かつての分かりやすい一本の壁は消え、その代わりに目的の異なる複数の「壁」が乱立する、複雑な迷路が出現したのです。この新しい地図を正しく読み解くことが、今後の賢い働き方の鍵を握ります。お困りの際は、私たち新橋の税理士までお気軽に税務相談ください。

2025年から登場する、新しい「税金の壁」

  • 新設!「123万円の壁」(扶養の壁)
    これは、配偶者や親の税法上の扶養でいられるかどうかの新しい基準値です。改正後の給与所得控除(65万円)と基礎控除(58万円)の合計である123万円が、その新たなボーダーラインとなります。パートで働く方は、年収123万円まで稼いでも、配偶者の方は配偶者控除(満額38万円)を失うことがなくなりました。
  • 新設!「160万円の壁」(ご自身の所得税の壁)
    こちらは、パートで働くご自身の所得税が課税されるかどうかの新しい基準値です。第1回で解説した基礎控除の「上乗せ特例」が適用されるため、扶養の壁よりもさらに高い水準に設定されています。2025年と2026年の2年間は、給与所得控除(65万円)と、上乗せされた基礎控除(95万円)の合計である160万円まで、ご自身の所得税はかかりません。

最大の注意点!変わらない「社会保険の壁」

ここが最も重要なポイントです。税金の壁は大きく引き上げられましたが、健康保険や厚生年金といった社会保険への加入義務が発生する年収の壁は、今回の税制改正で一切変更されていません。これは税金を管轄する財務省と、社会保険を管轄する厚生労働省の制度が連動していないために起こる現象です。

  • 不動の「106万円の壁」: 従業員51人以上の企業など、一定の条件を満たす場合に適用されます。
  • 不動の「130万円の壁」: 企業の規模にかかわらず、すべての人が社会保険の扶養から外れる基準です。

この「税金の壁」と「社会保険の壁」のズレが、「手取り逆転現象」という深刻なワナを生み出します。

例えば、「160万円まで税金がかからないなら」と年収を120万円に増やしたとします。所得税はかかりませんが、年収が106万円を超えた瞬間に社会保険の加入義務が発生し、年間で約18万円もの社会保険料が天引きされる可能性があります。結果として、年収105万円の時より、年収120万円の時のほうが手取り額が少なくなってしまうのです。

経営者のためのFAQ

Q. 「手取り逆転現象」は、具体的に年収いくらくらいで起こりやすいですか?

A. 最も注意すべきは年収106万円の壁を超える瞬間です。例えば年収106万円を超えて社会保険に加入すると、保険料(健康保険・厚生年金)として給与の約15%が天引きされます。年収120万円の場合、年間約18万円の負担となり、手取りは約102万円です。これは年収105万円(手取り105万円)の時より少なくなります。この逆転現象は、一般的に年収125万円~130万円程度まで続くと試算されます。

Q. 社会保険に加入するメリットは何かありますか?

A. もちろん、大きなメリットがあります。手取りは一時的に減りますが、将来受け取る年金(老齢厚生年金)が増えるほか、病気やケガで働けなくなった際の傷病手当金や、出産時の出産手当金など、保障が手厚くなります。長い目で見れば、ご自身のセーフティネットを構築することに繋がります。

Q. 従業員の配偶者の会社から「扶養から外れるように」と言われた場合、どうすればいいですか?

A. まずは、どの「壁」を理由にしているか確認することが重要です。税法上の扶養(123万円の壁)なのか、社会保険上の扶養(130万円の壁)なのかで話が異なります。また、繁忙期などで一時的に収入が増えた場合は、事業主が証明書を発行することで、引き続き社会保険の扶養に入れる場合があります。複雑な場合は、ぜひ私たち新橋の税理士にご相談ください。

まとめと次回予告

複雑な「年収の壁」を、以下の表にまとめました。ぜひご活用ください。

壁の種類2024年まで2025年から超えた場合の影響
住民税の壁約100万円約110万円ご本人に住民税が発生
所得税の壁103万円160万円ご本人に所得税が発生
扶養の壁 (税法上)103万円123万円扶養者が扶養控除等を受けられなくなる
社会保険の壁①106万円106万円 (変更なし)ご本人が社会保険に加入(手取り大幅減)
社会保険の壁②130万円130万円 (変更なし)ご本人が社会保険に加入(手取り大幅減)

今回は、新しくなった「年収の壁」について解説しました。税金の壁は上がりましたが、社会保険の壁は変わらない、という点が重要です。

さて、今回の税制改正では、もう一つ新しい控除制度が誕生しました。特に、大学生年代のお子様がいらっしゃるご家庭にとっては、大きなメリットがある制度です。

次回、第3回(2025年9月16日投稿予定)「大学生の子を持つご家庭は必見!新設『特定親族特別控除』とは?」で、詳しく解説いたします。

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