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消費税還付が不動産で起こる仕組みと条件とは?2020年税制改正でいつまでできる?

2020/5/15

支払った消費税が還付される制度が「消費税還付」ですが、不動産においても適応されます。しかしながら、2019年12月に発表された税制改正大綱により、不動産を対象とした消費税還付に大きな変化が訪れることになりました。
ここでは、消費税還付が不動産で起こる仕組みや条件とともに、税制改正に基づき「いつまで」できるのかを説明していきます。

 

消費税還付が不動産で起こる仕組みと還付金が発生する条件

そもそも、不動産における消費税還付とはどんなものなのでしょうか。
還付金が発生する仕組みや条件などを知っておきましょう。

不動産の消費税還付とは?

アパートやマンションの大家さんが、手持ちの土地活用のために建物を建築したとします。
例えば2億円で新しいマンションを建てたとして、大家さんが支払う金額は10%の消費税を乗じた金額(2億円×10%)の2億2000万円となります。
そして、消費税分の2000万円を還付してもらうことが消費税還付の目的です。

通常、消費税還付の仕組みでは、確定申告によって2000万円が返還されることになります。しかし、大家さんは消費税還付の条件の一つ「課税事業者であること」には該当しません。なぜなら、入居者から徴収する家賃収入は非課税売上であり、消費税の申告が必要ないからです。そこで、消費税2000万円を「課税売上割合」と呼ばれる方法で按分することになります。

課税売上割合による還付金の計算方法

課税売上割合の計算方法は次のようになります。

<課税期間中の課税売上高(税抜き)÷課税期間中の総売上高(税抜き)>
※国税庁サイト参照
・課税売上割合の計算方法
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6405.htm)

つまり、不動産オーナーが消費税還付を受けるには、建物を建築した年度に課税売上がなくてはなりません。
また、課税売上が多ければ多いほど還付金の金額も大きくなるのです。

例えば、2億円のマンションを建てた大家さんに、家賃収入120万円のほかに駐車場の賃貸収入が120万円あったとしましょう。
駐車場の賃貸収入は課税売上に該当しますので、課税売上割合が以下のように計算されます。

<駐車場の売上120万円÷駐車場の売上120万円+家賃収入140万円×100=46%>

となり、消費税還付金額は以下になります。
<2000万円×46%=920万円>

 

消費税還付スキームを封じ込めるために繰り返された税制改正

課税売上割合が100%になれば、支払った消費税を全額還付してもらうことができます。
この仕組みを利用し、課税売上を多くするための消費税還付スキームを封じ込めるため、2度の税制改正が行われました。

自動販売機スキームによる2010年の税制改正

2006年頃にブームとなったのが「自動販売機スキーム」でした。自動販売機を設置することで課税売上を産出し、課税事業者になるという手法です。さらに、物件の引き渡し時に家賃を受け取らず、自動販売機の収入のみを計上することで課税売上割合を100%にすることも可能でした。しかし、自動販売機スキームは2010年の税制改正とともに使用できなくなります。
2009年3月までは、課税事業者選択届出書を税務署に提出するだけで課税事業者になれました。しかし、これが問題視され、課税事業者選択届出書を提出しても2年以内に不動産を購入、建築した場合、3年間は免税事業者になること、簡易課税を選択することを禁止したのです。これにより、還付された消費税は調整計算によって3年後に返還が求められるようになりました。

消費税還付スキームの抜け道を塞ぐ2016年の税制改正

2010年の税制改正には消費税還付スキームの抜け道がありました。課税事業者選択届出書の提出後、3年目に不動産を購入、建築するという方法で消費税還付が可能だったのです。
これを受け、2016年4月の税制改正以降、簡易課税を適用していないアパートやマンションなどの高額資産を購入、建築した人は、3年間は免税事業者および簡易課税適用事業者になることができなくなりました。

※国税庁サイト参照
・簡易課税制度
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm)

 

消費税還付は不動産でできなくなる?税制改正の時期はいつ?

2020年に新たな税制改正が行われると、以降は賃貸住宅の消費税還付は一切できなくなります。
これに先立ち、税制改正の詳細や適応される時期を確認しておきましょう。

賃貸住宅での消費税還付は禁止となる

2020年の税制改正大綱では、「居住用賃貸建物の課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を認めない」こととなりました。つまり、どんなに課税売上が多くても、賃貸住宅を購入する際に支払った消費税は一切還付されないということです。しかし、賃貸住宅以外のオフィスや店舗などはこれまで通り消費税還付が可能です。
店舗併用住宅に関しては、店舗部分のみ消費税還付の対象となります。
ただし、オフィスビルとして建物を購入し、後に居住用賃貸として使用した場合、購入日に応じて還付を受けた消費税を返還しなければなりません。
購入日から1年以内は全額、2年以内は2/3、3年以内は1/3という規定があります。

税制改正の時期と消費税還付のための注意点

消費税還付が受けられないのは、2020年10月1日以降に引き渡しが行われる居住用賃貸建物です。例外として、2020年3月31日までに契約が済んでいるものに関しては、引き渡し日にかかわらず消費税還付の対象になります。課税事業者が高額資産を購入した場合、3年間は免税事業者になることが禁止されています。
この「3年縛りルール」の適用中に、課税売上割合還付金が50%以上減少すると、還付金を返還しなければなりません。
そのため、すでに還付を受けている人、あるいは消費税還付を受けようという方は、物件を売却したりほかの物件を購入したりすることは避けたほうがよいでしょう。

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